心理的安全性を意識した「正しい回答データ」の収集
従業員意識調査の成功には、正確で本音に近い回答データの収集が不可欠です。そのためには、回答収集プロセスにおける丁寧な準備と実施が重要です。
当社では、回答者が積極的に、本音で回答できる環境を整えるための包括的なサポートを提供いたします。特に、サイレントマジョリティ(物言わぬ多数派)の意見を引き出すことで、職場の現状をより正確に把握し、問題の早期解決や改善につなげることを意識します。
Web調査と紙面調査の特徴を理解した上で、回答者の匿名性を確保しつつ、適切な回答収集方法の選択から実施までをサポートします。
当社の基本アプローチ
- サイレントマジョリティの声を引き出す
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職場の現状を可能な限り正しく反映したデータを得るためには、回答者が積極的に回答してくれること、そして本音で回答してくれる環境を整備することが不可欠です。そのために次の3点を大切にしています。
- 丁寧な事前周知作業:調査の目的や意義を「伝える」のではなく「伝わる」ことを重視
- 回答データの機密性保証:誰がどういう回答をしたかの完全な秘匿
- 回答しやすい環境整備:回答期限や所要時間の明示、使いやすい調査画面の設計
- 「寝た子を起こすな」ではなく本質的改善を目指す
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経営者・設計者の深層心理として、悪い結果が出ることは、やはりどこかで怖いものです。もちろん従業員が本音で回答できる環境に近づけば近づくほど、結果は悪くなる傾向にあります。
子供が安心して生活している家庭ほど、親に不満を持つのと似たような現象は、企業にもあります。それが良いとはいいませんが、優等生の結果だけをあぶり出しても、本質的な課題の抽出にはつながらないことを当社は一番危惧します。エンゲージメント調査をすることで、誤った安心感をもってしまうことは、調査をしないことよりも、はるかに質が悪いからです。
当社では、消極的な姿勢ではなく、本質的な改善を目指すための回答環境づくりをサポートいたします。
回答収集における7つのステップ
当社では、現在の主流であるWeb調査を中心とした環境設計を基本に据えています。迅速な集計と集計ミスの削減を考慮し、Web回答をメインにしつつ、必要に応じて一部従業員向けに紙面回答を補完的に採用する形がベストだと考えています。
比較項目 | Web回答 | 紙面回答 |
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集計までの時間 | 速い | 時間がかかる |
実施費用・労力 | 労力がかからない | 労力がかかる(印刷、配布、回収、データ入力など) |
誤植対応 | 発見時の対応が容易 | 発見時の対応が大変 |
データ処理 | データ収集と集計が自動化 | データの集計や分析に手間がかかる |
必須制御 | 必須回答に回答しないと先に進めないように制御可能 | 必須回答の未入力を防げない |
自由記述 | 記入が手軽 | 記入率がWebに比べると低下する |
お客様の組織文化と調査目的に応じて、最適な回答方式をご提案いたします。原則として匿名であることを大切にし、当社では、記名方式はよほどの理由がない限り、採用することはありません。
1. 匿名回答方式(推奨)
- システム的にも誰が回答したかわからないよう設定
- 完全匿名での回答を実現
- 初回実施や発言に対する安心感が低い組織に最適
2. 半匿名回答方式(推奨)
- システム的には重複回答防止のため回答者を把握
- データ取り扱い上は完全匿名として処理
- 真に対応が必要な自由記述への適切な対応が可能
3. 記名回答方式(非推奨)
- 回答者が特定可能な形式
- 回答データの正確性確保が困難なため、当社では基本的に推奨しません
詳細には記載できませんが、回答者が心理的にもっとも回答しやすい色づかい、画面設計を意識します。
当社では、以下の10項目を含む詳細な実施要項を策定いたします。
- 調査目的(設問設計コンセプトを含む)
- 調査スケジュール(全体スケジュール)
- 調査対象(対象従業員の範囲と人数)
- 調査内容(設問群、用語定義、回答者属性)
- 回答方法(期間、媒体、匿名性レベル)
- 事前周知対応(文面・口頭による周知方法)
- 回答期間中の対応(回答率報告、督促方法)
- 調査データの取り扱い方針(有効対象者定義、機密保持)
- 結果の共有と活用イメージ(共有方法、対策立案)
- 問い合わせ先(質問・問い合わせの連絡先)
任意ではありますが、事前周知前の適切なタイミングで役員報告を実施し、以下の内容をお伝えします。
- 実施要項の詳細説明
- 分析の解像度(細かさ)の見通し
- 報告方法の概要
- 経営層・部門長の協力が不可欠な事項の確認
事前周知をおこなうことで、従業員の回答意欲を高めます。何のために回答するのか?が明確になることで、回答意欲が高まるだけでなく、本音で伝えたいことを伝えようとする従業員が増える傾向にあります。
文面による通知
- ポータル掲載、通達メール、職場ポスター掲示
- 調査目的、実施時期、結果活用法を明確に記載
- 抜き打ち感ではなく、事前の丁寧な通知を重視
口頭による通知
- 上司からのグループミーティングや朝会での説明
- 社長自らの動画メッセージ(特に効果的)
- 調査の重要性と参加意義の直接的な伝達
当社では、すべてのクライアントにおいて、80%以上の回答率を実現してきました。ただし、無理に実現することはありません。STEP5で示したような対応を中心に、主体的に回答いただく環境を整えることで、自然に高い回答率の実現を目指します。
充分な周知をおこなったにもかかわらず、回答率が低い場合、何らかの原因があります。部門別に回答率をみたとき、80%に達しなかった例は多々ありますが、そのような部門には以下のような特徴がありました。
- 調査があることが従業員に伝わっていなかった(伝えていなかった)
- 回答しないことで、意志を示そうとした
回答期間中は、回答システム等を通じて、適切に督促をおこなっていきます。各職場において、上司から個別に声をかけることは控えていただきます。もし声を掛けてしまうと、回答状況がわかっているのではないか?という疑念を従業員がもつ可能性があり、回答の本音度に影響がでる可能性があるからです。