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全体設計プロセス

問題解決の打ち手が見える調査を実施するための全体設計を丁寧に進める

 よりよい従業員意識調査を実施するためには、適切な全体設計が不可欠です。調査の目的を明確にし、それに沿った設計をおこなうことで、有意義な調査につながります。

 本ページでは、従業員意識調査の全体設計について解説します。調査目的の設定、調査対象者の選定、回答収集期間の決定など、調査の大枠を丁寧に定めていく方法を説明します。これらを踏まえることで、組織の特性に合わせた最適な調査設計をおこなうことができます。

カスタマイズ型調査の魅力

自社にフィットした設問群で、調査・分析・対策ができること

3つの副産物

設問群を通じて、会社の考え方を伝えられること

 会社に対する共感度や、会社の方針に対する理解度を確認する設問群を通じて、会社としての考え方を感じ取ってもらうことができます。調査の機会を利用して、特に理解しておいてもらいたいことを伝えることで、従業員に要点を効果的に伝達できます。

回答率が高くなりやすいこと

 カスタマイズ型の調査では、従業員が日常的に触れる表現、状況、行動にマッチした設問を用意できます。人は、自分に関連性の高い内容ほど真剣に考えようとするため、調査に対する従業員の主体的な参加を促すことができ、回答率の向上につながります。

事務局として携わった人材に、管理職としての素養が培われること

 調査全体のプロセス(設計⇒収集⇒分析⇒報告⇒対策)に、事務局として全面的に関わることで、管理職として必要な多くの素養を身につけることができ、人材育成の効果的な手段になり得ます。

従業員ファーストで考える

 質の高い従業員意識調査を実施するためには、常に回答者の立場・気持ちで考えるつまり、従業員ファーストで考えることが必要です。

 従業員意識調査でもっとも大切なのは、回答者が正しく回答することです。データが正しくなければ、どんなに採用実績のある設問だろうが、どんなに質の高い分析をしようが、どんなに素晴らしい対策を立てようが的外れになります。

回答の“本音度”を高めるポイント

本音に近い回答を集めるためには、以下の条件を満たす調査にする必要があります

  • 心理的安全性が高い調査
  • 手間の少ない調査
  • 匿名性が確保された調査

調査全体のプロセス

 従業員意識調査は、以下のプロセスをワンセットとして捉えることが重要です。

各プロセスの質を高めることで、有意義な結果が得られます。また、設問設計以降のプロセスにおいて、常に全体設計を意識し続けることが必要です。

当社がサポートする、全体設計で決めるべき7項目

事務局メンバーを選ぶ

選定の基本方針: メンバー全員揃えば、会社の全体像が描けそうなメンバーになっていることが最重要です。貴社の組織構成を踏まえ、最適なメンバー構成になるようサポートいたします。

人数の目安: 議論の発散を防ぐために6名~10名程度に絞ることを推奨します。

推奨するメンバー構成(例)
  • 育てたい若手+担当役員の組み合わせ
  • 部門横断的な上層部中心の構成
  • 各本部・各部門からの代表者選定
  • 間接部門と直接部門のバランス型構成
  • 世代バランスを考慮した人脈重視型構成
避けたいメンバー構成

間接部門(人事部・総務部・経営企画部など)だけでメンバーを構成することは避けましょう。現場寄りの部門や直接部門の従業員を加えることで、回答者の納得感が高まります。

実施スケジュールと実施周期を決める

実施スケジュール選定の基準: 最重要日程は、調査結果の報告日です。次に重要な日程が、回答収集期間です。

標準的な期間: 全体設計プロセス(1-2ヶ月)設問設計プロセス(1-2ヶ月)回答収集プロセス(2-3週間)データ分析プロセス(1-2ヶ月)対策立案プロセス(1ヵ月)対策推進プロセス(次回調査まで)

回答収集期間の決め方
  • 他の人材系調査(ストレスチェックなど)とできるだけ離れた時期を選ぶ
  • 人事評価期間の前後をまたがないようにする
  • 社外情報開示を検討している場合は、その時期から逆算する

実施周期: もっとも一般的なのは1年に一度実施する方法です。ただし、ご予算によっては2年に一度でも充分に効果的です。一方、設問数を減らして2ヵ月に一度など頻回に実施することを推奨される場合もあるようですが、当社では絶対に実施しません。

頻回実施は回答者にとって負担になる

回答者からすれば、そんなにたびたび聞かれても、だんだん回答することに対する真摯さを持てなくなってくるからです。健康診断に置き換えれば、1年に一度でも充分です。1年に一度の調査で見つかった課題に対して、1年かけて向き合う方が大切です。

「現状仮説」と「ありたい姿」を共有する

目的理解の重要性: 事務局メンバー全員で調査の目的や意義を共有することに時間を割くことが、調査成功の鍵となります。

ありたい姿を無視しない: 現状把握するための調査なので、現状仮説だけの議論になりがちですが、ありたい姿を議論しないことには、調査結果を基に、対策を推進していくときの旗印が明確になりません。

現状を議論する上でのポイント
  • 発言しやすい職場が多いと思うか?
  • 職場に自由に意見を言える雰囲気があるか?
  • 一人ひとりのキャリアに対して会社は適切な判断をしているか?
  • 会社の将来に魅力を感じるか?
  • 管理職のよいところ、悪いところは何か?
  • 経営方針に対して納得感があるか?
  • 総合的に考えて、働きがいを感じる会社か?
回答対象者を決める

 役員を除く従業員すべてを対象とすることをおすすめします。派遣社員については、対象にする企業もあれば、対象外とする企業もありますが、事前確認なく回答対象とすると、トラブルにつながる可能性があるので、気をつける必要があります。

回答者属性を決める

属性数の目安: 3つ程度をおすすめします。属性が多すぎると回答者の警戒心が高まり、回答率が下がる傾向があります。

代表的な属性項目: 部門、階層・役職、年代、性別、勤続年数、勤務地域

属性は細かくしすぎると答えにくくなる

 属性を細かくしすぎると、「あれ?この回答者属性に該当するのは私しかいないじゃん。バレちゃうじゃん」となってしまうことがあります。エンゲージメント調査はあくまで組織の状態を測ることが主目的です。個人を特定することは避けなければなりません。如何に精度を高めて組織の状態を確認するかということと、回答者の安心感はトレードオフの関係にありますので、あまり細かくしすぎないように気をつけましょう。

 調査の回数を重ねる中で、徐々に属性を増やしていく、細分化していくことを当社ではお薦めしています。

調査の名称とロゴを決める

 調査の認知度向上、従業員の親しみやすさ向上、継続的な取り組みとしての定着の観点から、調査に名称をつけることを強く推奨します。人間やペットも名前で呼んだ方が親しみがあるのと同じで、こういった施策も名称があった方が、従業員も身近に感じられ、対策を推進していくときに重要な役割を果たします。

設問設計コンセプトを策定する

 設問構成ならびに分析の指針となる設問設計コンセプトを策定いたします。このコンセプトは、経営戦略や人材戦略と連動する中長期的な視点で策定し、従業員意識調査の一貫性と継続性を確保します。

策定要素
  • 目的:何を測定したいのかをお客様と明確に定義
  • 計測構造:組織のどの部分に着目するかを体系化
  • 理想的な状態のストーリー:高得点時に実現したい組織の姿
  • 最悪な状態のストーリー:低得点時に避けたい組織の状態

企業規模によって進め方の違いはあるか

 当社では、50名程度の企業から4000名程度の企業まで、幅広く調査実施実績があります。従業員数や部門数による実施方法の大きな流れに違いはありません。従業員50名程度の中小企業でも、従業員4000名規模の企業でも、基本的なプロセスは同じです。

 もちろん、事務局メンバーの人数や対策実施における展開方法、分析にかかる時間などは、規模によって異なりますが、全体設計の7項目はどの規模でも重要です。